熱帯魚  の子育て

 南米アマゾン川を原産地とする
熱帯淡水魚・ディスカス。
体長10数cmの円盤形で、王者の風格を持つ
この魚の繁殖は、孵化した稚魚の初期飼料を人工的に作れないことから、子育てをする良いペアを育てることが重要なのだが、それが難しい。

 90cm以上の大型水槽に同サイズの若魚を数匹以上飼育し、水温28℃位の高温で水換えを多くして
水質を維持するよう心がける。
成魚に成長するとペア作りの闘争が始まり、
やがて大きく強そうな雄が気に入った雌と恋に落ち、
他の魚を水槽の隅に追いやってペアが誕生する。
自由恋愛を経て結婚し、普通は浮気もせずに
産卵育児を協力してやり遂げる。


しかし、人工飼育下ではケンカしたり卵や稚魚を食べるペアが多いのが現実です。

 陶製の産卵筒を入れてやると、
口でつついて掃除をし、まず雌が筒の下から上へ一列に卵を産み付け、その後を雄が放精して受精させる。

静かに厳粛にこの行動が繰り返される。

産卵数は少ないが、以後大切に仔魚を育てます

親ペアは一緒にあるいは交代しながら胸鰭を動かし、卵に新鮮な水を送って孵化を待つ。



  そして3日目、ついに孵化
 
孵化しても、卵に尾と頭を付けただけの稚魚は全く泳ぐことは出来ず、卵の栄養分で成長し動きが活発となり集団を作る。
筒から落ちた稚魚は親が口に含んで集団に返し、
片時も稚魚から目を離すことが無い。
 
孵化して3日後、稚魚が泳ぎだし、同時に何の疑念も無く親の体側に付着する。
親魚は体表から粘液状の分泌液を出し
、稚魚はそれを餌として食べ、
いわば母乳と父乳?で子育てが行われる。
稚魚は時々親から離れて自由に泳いだり、他方の親に移ったりしながら成長。 
 
ディスカスのミルクの栄養分に秘密があるようで、稚魚の成長が極めて早い。
やがて人口餌も食べるようになって、親離れが出来るようになる。
  
 
   
親とは別の水槽で、赤虫を食べて成長する。
発育に差が出てきた。
そろそろ一人前?の若魚たち。これだけ
混雑すると相手探しの闘争も出来ない。

    これらの写真は、2002年~2003年春のデジカメによる記録です。

 グッピーに始まる様々な熱帯魚の繁殖記録が、ネガ(白黒とカラー)で残され
 ているはずなので、いずれスキャナーで復元して紹介したいと思っています。

                                2006、01、27、.画像更新
 

 
 
2004年改築後は熱帯魚温室は無いので、
新居の玄関に幅60cmの水槽台を
2つセットした。
水草中心にカラシン科やコイ科の小型魚を
入れ、冬は下段に金魚の一部も入れている。
 


 
2005年、庭に新たに小さいを作る。
紅白・三色・黄金などの鯉の幼魚金魚を入れた。(右写真)
冬はポリ容器に移して廂下で越冬させたところ、
金魚は無事だったが、幼鯉は全滅した。
2006年は寒波・大雪の冬で、エアーもかけてなかったから
酸欠が原因? 特に幼鯉は弱い?
2007年春、金魚を池に放す。直後の1~2日早朝、
三尾(みつお)の金魚の多く(琉金・オランダシシガシラ・丹頂・
茶金・青文魚など)が捕食され鱗が散乱した。
 
カラスかサギと思われる鳥の犯罪と確信し、池の上にテグス糸を張った。
懇意にしていた近くの観賞魚店が廃業したので、金魚の追加をしなかったところ、
自然のままで多くの稚魚が孵化し成長した。
親魚は東錦とサバオ・コメット・和金・朱文金などのフナ尾の金魚です。
以下は6月から12月の記録です。
産卵する親魚 排水口周りの 浅瀬で育つ稚魚 親と群れる稚魚 池あげ直前
 

2008.02.03. 追加更新 
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各種 熱帯魚の繁殖 記録
 
 30年以上も前のことです。
当時難しいとされたディスカスの繁殖に成功(1973年頃)したことがきっかけで、
ある観賞魚専門月刊誌に1年間の連載記事を書いたことがあります。
今は、お世話になった2軒の観賞魚店も廃業し、病気後の改築で3坪の温室もなくしました。
昨冬の課題として、昔し撮影したネガフィルムのデジタル化に取り組み、
今冬のHPへの追加更新となりました。
ブログに発表したものをまとめた、若き頃の記憶 です。
 
 ~ コリドラス ~
ナマズの仲間で体長5~6cm。 
普段はグッピーなどの混泳水槽で、残餌や
底砂に潜ったイトミミズなどを食べてくれる
水槽の掃除屋
として、地味な存在です。
そこで、体形も動作も愛すべき要素に富む
コリドラス
たちを主役にしてみました。

  その中でパレアトスの繁殖行動を紹介します。
底砂にはサンゴ砂を混ぜて水質の酸性化を防ぎ、
 水草を多めに植え込んで、生餌を十分に与え、水温は23℃位の低めにセットします。

 そこにはケンカも独占も無い平和で陽気な一妻多夫の世界 が賑やかに展開しました。
1、複数のオスが大きいメスを追い、突然体を横にしたオスの腹部に、メスが直角に交差
   する形で吸い付く。 その時間は10秒位、精液を口に含んでいるようです(中左端)。
2、その間または直後に、3~5個の卵を生み出して、腹ビレの間に卵を抱いています。
 3、メスは、そのまま激しく水槽のガラス面や水草をナメ回し(中2枚目)、     
     精液を付着させているように見えます。
4、その後メスが、卵をガラス面や水草に付着させます(中3,4枚目)。     
    朝から3時間にもわたって、この産卵行動が繰り返され ます。
5、卵は1,5mm程あって大きく丈夫で、ガラス面から手で擦り取っても破れません。
   卵を放置すると親魚に食べられてしまうので、別の容器に移してエアレーションします。
  水温23℃で、孵化するまで5日間120時間もかかりました。  
  分割が始まった卵(上左写真)と、90時間後(上右、接写リング使用)。
  孵化した稚魚も6mm位で大きく、1ヵ月後には体長1センチの幼魚に育ちました。

 

 ~ メダカ 科 ~

 アフリカのサバナ気候(熱帯で雨季と乾季が交代する)地域の湖沼などに生息する卵生メダカのグループは、雨季に生育産卵し、乾季には卵のままで干上がった泥の中で休眠 します。 
翌年雨季に孵化した稚魚は、短期間で成熟して
産卵を始め、雨季の終りまで、即ち死の直前まで
卵を産み続けます。

  上2枚は体長10cmを超えた「ブルー・グラリス」です。
 煮沸したピートモスを産卵床とし
て、仲良く産卵を繰りかえしましたが、
卵の保存処理を失敗して、
 稚魚を見ることが出来なかったものです。


  一方、中南米に分布するメダカに多いのが卵胎生メダカの仲間です。
 中でも「グッピー」は、私にとっても最初の繁殖経験でした。

 オスの尻ビレが「ゴノポジュウム」と呼ばれる交接器に変形  してきます。
 オスがメスを激しく追尾して、このゴノポジュウムをメスの性口に挿入し、胎内で受精し、
 メスは卵ではなく仔魚を1匹ずつ生み出す
のです。
  下写真は地味な体色で大きいメス親の 1、腹部から頭を出し、
 2、丸い卵の形で出産、 3、同時に体を伸ばして泳ぎだす稚魚です。
 交配による品種改良の歴史が長く、左端はそのオスの1例です。


 
 ~ アナバス科 ~
  アナバス科の熱帯魚は、
鰓の後方にラビリンスという補助呼吸器官をもって、空気呼吸 を行い、
 産卵習性として水面に泡巣を作る ものが多いグループです。
 神秘的で情熱的な産卵行動 と、強い父性愛をもつ献身的な育児パパ に感動!!します。


 上の「パール・グーラミィ」は、東南アジア原産で体長10cmを超えます。

1、オスが、「水面で空気を吸っては、水中で鰓から気泡を吐き出す動作」 を繰り返し、
  ウオータースプライトの浮き草を利用して、水面に泡巣 を作ります。
2、メスを巣の下に誘い込んで、オスがメスを包むように魚体を曲げて抱擁 する。
  ( 60cm水槽隅で巣作り産卵、写真にはガラス面の反射が写しこまれました )
3、産卵放精の直後に、オスは落下する卵を口に含んで泡巣に運びます。
  2,3の行動を何回も繰り返します。
4、オスは、昼も夜も泡を補充しながら巣と卵を守り、2日目に孵化した稚魚も、巣から
  落ちると口にくわえて泡巣に戻します。
4、さらに2日程すると稚魚が遊泳 し始めます。 この間メスは子育てせず、オスも役割を
  果たしたので別の水槽に移します。 
  無数の小さい稚魚 には、ゆで卵の黄味を水に溶いた液を初期飼料として 与えます。


 下は、インド原産で温和で美しい「ドワーフ・グーラミィ」です。
 体長5センチ位で小さいので、45センチ水槽で繁殖できます。


 1、腹部の大きいメスと婚姻色 で一段と美しいオスが、泡巣の下でゆっくり旋回し始める。
 2、回転しながら、オスが魚体を曲げて、メスの体を巻くように抱擁する。
 3、オスが強く締め付けると、メスが10~20粒の卵を産出し、オスが精子を放出する。
 4、1粒ずつバラバラになった卵が静かに落下していくが、
オスが一生懸命にその卵を口にくわえて泡巣にくっつける
。 
その間メスは何もしません。
  巣を整えるとまたメスを誘って何回もこの行動を繰り返します。

 
 ~ マウスブリーダー ~
 
ペアになって子育てをするシクリッド科の魚
の中に、卵や稚魚を口の中で育てる習性を持つ魚
 マウスブリーダー
がいる。

左2枚は、アフリカ・ナイル川下流に生息する、その名も「エジプシャン・マウスブリーダー」です。 

    体長4cmほどの地味な小型魚ですが、
産卵後は すぐに、メス親は卵を口に含んで絶食(1枚目)し、
  孵化した稚魚も口内保育して、口から出た稚魚は
 大きめ(2枚目)です。 この間、オスは子育てせず、別水槽に移しました。
 

次は、アフリカ・ニアサ湖の「イエローストライプド・シクリッド」です。

 メスは6センチ位で黄色に黒のストライプ模様、オスは7センチ位と少し大きくなって、
繁殖期には婚姻色 で黒と黄色が逆になります。
1、オスがメスの腹部を刺激して産卵を促す。
2、メスは卵を1粒産むとすぐ口にくわえる (2,3枚目)。
3、その後オスが放精し、メスは精液を口で吸い、口内で受精させ る。
 この行動を繰り返して、数10個の卵を産んで口内保育するが、
オスは子育てに参加せず、メスを追い回すので別に分けます。


下は、「ジェオファーガス・ジュリパリ」です。

体長10センチ以上のアマゾン川に生息する中~大型熱帯魚で、
幅75センチ以上の水槽で飼育します。
1、岩に沢山の卵を産みつけ、ペアで協力して卵を守る。
2、孵化すると稚魚を口に含み、口内保育する。安全を確認して口から稚魚を吐出し、
 危険を感じると、稚魚はいっせいに親の口内に帰る。 

親ペアの仲が良く、育児はオス・メス対等で、
愛情深く子育てする姿は感動的!!


 ~ エンゼルフィッシュ ~
 

 現在は、小魚が泳ぐ水草中心の60cm水槽が2台玄関にあるだけですが、
かつて園芸趣味の以前には、熱心な熱帯魚愛好家でした。
 今冬はHPの更新を先送りして、パソコンとデジカメを始める以前に撮影した沢山の
ネガフィルム から、スキャナーと共に用意したが未使用の透過原稿ユニット を使って、
試行錯誤しながらデジタル画像に復元しました。 その一部を紹介します。

 熱帯魚の中でも特に私が惹かれたのは、ペアを組んで子育てをするシクリッド科の魚
たちです。初回は、特徴的な体型と動きに見せられたエンゼルフィッシュ(体長8cm位)。
数種類を飼育しましたが、産卵しても途中で卵や稚魚を食べてしまうペアが多い中で、
仲良く子育てを繰り返したペアが写真の「ゴールデンエンゼルです。

1、水槽隅に立てかけた、塩ビのパイプを産卵床として卵を産みつけ、守る。
2、2日過ぎに孵化すると、口に含んでバナナプラントの葉に移して見守る。
3、遊泳しだした稚魚と親ペア。 (水槽撮影初めの頃の写真です。)
4枚目はアマゾンソードプラントの葉に産卵中のペアです。

 

~ 小型のシクリッド ~   体長3~5センチ位の小型のシクリッド科 3種です。

 ペア形成の過程でも、比較的闘争性が少なく、幅45~60cmの小型水槽で繁殖が可能。
 孵化した稚魚の餌は、乾燥地域の塩水湖に生息するブラインシュリンプ という甲殻類の
 乾燥卵を、人工孵化させて与えます。
 

 上は「アピストグラマ・ラミレジー」です。
 1、水槽にセットした植木鉢を口で掃除して産卵開始するペア(小さい方がメス親)、
 2、卵を守るオス親、 3、4、孵化して遊泳する稚魚と親です。


 左は
 
オレンジ・クロマイド
 です。
 
  1、卵から孵化し、 まだ泳げない稚魚を 見守る親、
  2、泳ぎだした稚魚、   
  3、ブラインシュリンプを食べて、成長する稚魚と親ペアです。
 
 
  下は「ピンク・コンゴー・シクリッド」です。

 1、産卵するペア、 2、卵を守るメス、 3、孵化した稚魚を守るオス、
 4、遊泳する稚魚(ブラインシュリンプを食べて満腹)と親ペア。
 


 ~ 中型のシクリッド ~
 

 60cm水槽で、仲良く子育てをした中型のシクリッド 4種の繁殖記録です。
ペアを組んで子育てをするグループは良いペア作りが大切で、数匹の若魚を飼育する中で、
激しい闘争を経てペアを形成 し、他魚を水槽隅に追いやってテリトリーを作ります。
(大自然と違い限られた水槽内ですから、途中で卵や稚魚を奪い合って食べてしまうペアもいます。)

下は、体長7cm位で、宝石を散りばめたようで美しい「ジュエル・フィッシュ」です。
岩に産卵し、孵化した稚魚を底砂に移して守り、遊泳する稚魚を見守ります。
凶暴な一面を持ちながらも、犠牲的な愛情を示して多くの幼魚を育てました。


 次は、体長10cm位で闘争的な「シクラソマ・セベラム」の産卵、孵化、
 稚魚の遊泳と、幼魚への成長です。


 下段は比較的温和で、岩に産卵し稚魚を守る「ブルー・アカラ」(左2枚)と、

植木鉢の底で孵化し、水草間を遊泳する稚魚を見守る「シクラソマ・ニグロファシアタム」です。

 
 
 ~ 大型のシクリッド ~ 

 何と言っても「ディスカス」の風格が一番! 思い出の3枚です。



2011、02、08、 各種熱帯魚の繁殖記を追加しました。


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